グループ活動 > 【 特 集 】農業 環境グループ ~ これまでの主な取り組み & 総括 ~
2002年から2018年までに取り組んだ主な活動を紹介します
無農薬有機栽培の屋外体験学習をはじめ、環境にやさしい農業 や 有機農業 に関する勉強会を定期的に開催し、市民の参加を促しました
無農薬・無肥料 の自然栽培農法についての実践講座が開催され、木村 秋則 氏 ※ の指導のもと、実地研修も行われました
弘前市内にて、自然農法で17年間にわたり畑や田んぼを作り続けている 斉藤良雄 グループリーダー(当時)の農園を訪問しました
稲・りんご・すもも・大豆・ミニトマトなどが栽培されており、現地ではスイカのご馳走もいただきました
「 環境の視点から食と農を考える 」をテーマにしたシンポジウムを開催し、パネリストによるディスカッションを行いました
多くの参加者が集まり、環境保全型農業などについて活発な意見交換がなされました
農業の基礎となる豊かな水資源や、母なる川「 岩木川 」について学ぶ勉強会を実施しました
また、環境保全型農業にも関係するエネルギー問題として、太陽光発電 に関する勉強会も開催しました
無登録農薬などの問題を背景に、消費者から農産物の安全性に対する要請が高まり、生産者にも「 どのような農薬を使用したのか 」といった生産記録の提示が求められる時代となりました
こうした社会的な要請に応え、信頼される農家を目指して、青森版農業環境マネジメントシステム(AES)の構築 に取り組みました
HEP21のグループ編成は、2001年3月に策定された「 第1次弘前市環境基本計画 」における「 めざす環境像 」の分類に基づいています。当初、この計画において「 農業環境 」は独立したカテゴリーとして明記されておらず、生活環境の一部として「 健康で安全な生活の実現 」に関わる施策や、自然環境の分野で「 自然環境の復元 」という重点施策の中で、環境保全型農業の推進が言及されているのみでした。
私たち「 農業環境グループ 」は、こうした背景のもと、環境保全型農業の推進に取り組むことを目的に、初代事務局長を中心として結成されました。当時は、農薬をはじめとする化学物質による環境汚染や生物多様性の減少、無登録農薬の使用などが懸念されており、消費者の信頼を取り戻すべく活動を開始しました。
「 信頼される農家づくり 」を目指し、自然栽培農法の普及や、青森版農業環境マネジメントシステムの構築を目標としました。地球環境グループが「 平成14年度あおもり県民政策研究 」に「 青森県における環境マネジメントスタンダードに関する研究 」を申請し、2002年6月に特定テーマ研究の一つとして採択されたことを受け、青森版環境マネジメントシステム( AES )を立ち上げ、農業者への取得と普及を進めました。このAESの取得が評価され、その後、世界的な農業GAPであるユーレップギャップ( 現在のグローバルGAPの前身 )を取得する農産物取引業者も現れました。
HEP21としては、岩木川へのサケの稚魚放流や、シンポジウム「 環境の視点から食と農を考える 」の開催を通じ、食の安全・安心に関する議論を深めてきました。そこでは、農薬の問題や農業者の高齢化、無農薬農産品の価値評価などについて活発な意見交換が行われました。また、当団体代表が 青森県環境パートナーシップセンター↗ の代表を10年間務めていたこともあり、弘前市主催の「 食と産業まつり 」にも参加し、普及啓発活動に尽力しました。
さらに、岩木川の水利用に関する農業の水利権や水質問題について学ぶ機会を設けたほか、生活環境グループ と連携して食品添加物や食の安全性に関する勉強会も開催しました。加えて、リンゴ畑で照明や電源として活用できるソーラーパネル付き移動式蓄電池についての学習も行いました。
しかしながら、当時「 農業環境グループ 」に集った皆様は、あまりにも先進的な視点を持っていたためか、保守的な農業者や農業行政関係者からの理解を得ることが難しく、活動の広がりには限界がありました。そして、2018年を最後に、グループの活動は休止状態となっています。
現在、「 令和の米騒動 」とも呼ばれる状況の中で、農業を取り巻く環境は大きく変化しています。農薬は生分解性が高く安全性の向上が図られ、低農薬・有機栽培も拡がりを見せています。また、グローバルGAPなどの 農業版環境マネジメントシステム を取得する県内の農業高校も出てきています。
こうした現状を踏まえると、当時「 農業環境グループ 」が目指していた方向性は決して間違っておらず、むしろその先進性がようやく評価される時代が訪れたと言えるでしょう。その復活が待たれるところです。